(みなみ司法書士合同事務所)























































































 当事務所は、東京都墨田
 区錦糸町に事務所をおき、
 主に東京、埼玉、千葉、神
 奈川にて営業しています。
 また、上記以外の地区にも
 出張可能ですので、遠方に
 お住まいの方もお気軽にお
 問合せ下さい。









危急時遺言の要件




  危急時遺言の有効要件


   事件名 遺言無効確認請求
   裁判年月日 昭和47年03月17日
   法廷名 最高裁判所第二小法廷


   判示事項
    一、いわゆる危急時遺言の遺言書における日附と遺言の効力
    二、いわゆる危急時遺言の遺言書に対する証人の署名捺印が遺言者の面前でなされ
      なかつた場合に遺言の効力が認められた事例


   裁判要旨
    一、いわゆる危急時遺言の遺言書に遺言をした日附ないしその証書の作成日附を記
      載することは遺言の有効要件ではなく、遺言書に作成の日として記載された日
      附が正確性を欠いていても、遺言は無効ではない。

    二、いわゆる危急時遺言において、筆記者である証人が筆記内容を清書した書面に
      遺言者の現在しない場所で署名捺印をし、他の証人二名の署名を得たうえ、全
      証人の立会いのもとに遺言者に読み聞かせ、その後、遺言者の現在しない、遺
      言執行者に指定された者の法律事務所で右証人二名が捺印をし、もつて全証人
      の署名捺印が完成した場合であつても、その署名捺印が、原判示(原判決理由
      参照)のように、筆記内容に変改を加えた疑いを挾む余地のない事情のもとに
      遺言書作成の一連の過程に従つて遅滞なくなされたものであるときは、その署
      名捺印は民法九七六条の方式に則つたものとして、遺言の効力を認めるに妨げ
      ない。




   主    文

    本件上告を棄却する。
    上告費用は上告人の負担とする。

   理    由

    上告代理人山中伊佐男の上告理由第一点について。
    所論は、要するに、民法九七六条所定の方式によるいわゆる危急時遺言についても、
   遺言書に作成日附の記載のあることがその有効要件となるものとし、原判決が、本件
   遺言書は昭和四三年一月二九日に完成したことを認めながら、昭和四三年一月二八日
   と記載された右遺言書による遺言の効力を認めたのは、同条の解釈を誤つた違法があ
   るというのである。

    しかし、同条所定の方式により遺言をする場合において、遺言者が口授した遺言の
   趣旨を記載した書面に、遺言をした日附ないし証書を作成した日附を記載することが
   右遺言の方式として要求されていないことは、同条の規定に徴して明らかであつて、
   日附の記載はその有効要件ではないと解すべきである。したがつて、右遺言書を作成
   した証人においてこれに日附を記載した場合でも、右は遺言のなされた日を証明する
   ための資料としての意義を有するにとどまるから、遺言書作成の日として記載された
   日附に正確性を欠くことがあつたとしても、直ちに右の方式による遺言を無効ならし
   めるものではない。そして、遺言のなされた日が何時であるかは、書面は日附が存在
   せずまた日附の記載の正確性に争いがあつても、これに立会つた証人によつて確定す
   ることができるから、所論のような事情は右の解釈を左右するものではない。これと
   同旨の原審の判断に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

    同第二点について。
    論旨が、本件遺言の効力を認めて上告人の請求を棄却した原審の判断を違法とし、
   遺言の無効事由として述べるところは、上告人が第一審以来遺言無効の事由として主
   張し、原判決の引用する第一審判決の事実欄五の(一)、(二)および(四)ならびに七に
   摘示されたものと同一に帰するが、原判決(その引用する第一審判決を含む。)の挙
   示する証拠関係に照らせば、原審の事実認定はすべて是認するに足りるから、論旨中
   事実認定の非難に帰する部分は理由がない。そして、原審の確定した右事実関係のも
   とにおいては、論旨と同旨の主張を排斥し本件遺言の効力を認めた原審の判断(第一
   審判決八枚目裏八行目から一〇枚目裏一行目までの説示部分)もまた首肯するに足り
   るが、なお、本件遺言書の証人の署名捺印は、遺言者の面前でなされたものではない
   ので、この点について判断する。民法九七六条所定の危急時遺言が、疾病その他の事
   由によつて死亡の危急に迫つた者が遺言をしようとするときに認められた特別の方式
   であること、右遺言にあたつて立会証人のする署名捺印は、遺言者により口授された
   遺言の趣旨の筆記が正確であることを各証人において証明するためのものであつて、
   同条の遺言は右の署名捺印をもつて完成するものであること、右遺言は家庭裁判所の
   確認を得ることをその有効要件とするが、その期間は遺言の日から二〇日以内に制限
   されていることなどにかんがみれば、右の署名捺印は、遺言者の口授に従つて筆記さ
   れた遺言の内容を遺言者および他の証人に読み聞かせたのち、その場でなされるのが
   本来の趣旨とは解すべきであるが、本件のように、筆記者である証人が、筆記内容を
   清書した書面に遺言者Dの現在しない場所で署名捺印をし、他の証人二名の署名を得
   たうえ、右証人らの立会いのもとに遺言者に読み聞かせ、その後、遺言者の現在しな
   い場所すなわち遺言執行者に指定された者の法律事務所で、右証人二名が捺印し、も
   つて署名捺印を完成した場合であつても、その署名捺印が筆記内容に変改を加えた疑
   いを挾む余地のない事情のもとに遺言書作成の一連の過程に従つて遅滞なくなされた
   ものと認められるときは、いまだ署名捺印によつて筆記の正確性を担保しようとする
   同条の趣旨を害するものとはいえないから、その署名捺印は同条の方式に則つたもの
   として遺言の効力を認めるに妨げないと解すべきである。そして、昭和四三年一月二
   七日深夜から翌二八日午前零時過ぎまでの間遺言者による口授がなされ、同二八日午
   後九時ごろ遺言者に対する読み聞かせをなし、翌二九日午前中に署名捺印を完成した
   等原判示の遺言書作成の経緯に照らせば、本件遺言書の作成は同条の要件をみたすも
   のというべきである。なお、本件遺言書には、遺言者Dに清書された書面を読み聞か
   せたのち、その記載内容に加筆訂正を加えた部分があり、右部分についてはDに対し
   改めて読み聞かせをしなかつたというのであるが、その部分は、本件遺言書一枚目三
   行目に、「遺産します」とあるのを「遺言します」と一字訂正し、また二枚目二行目
   に、「(但し遺言者は重態の為め署名捺印は出来ない)」と附加記載したというので
   あつて、前者はたんに明らかな誤記を訂正したにとどまり、また後者も危急時遺言の
   方式としては無用の記載を附加したにとどまるから、このような加筆訂正の結果につ
   いて改めて遺言者に読み聞かせることがなく、また附加訂正の方式において欠けると
   ころがあつたとしても、本件遺言の効力に影響を及ぼすものではない。
    してみれば、原判決に所論の違法はないから、論旨はすべて採用することができな
   い。
    よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
   おり判決する。









相続の各手続や遺産分割の方法、遺言書の作成などお気軽にご相談ください。














みなみ司法書士合同事務所
Copyright(C)2002 .All rights reserved

                             page危急時遺言の要件