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死因贈与契約の取消し




  死因贈与契約の取消し


   事件名 遺言無効確認
   裁判年月日 昭和57年04月30日
   法廷名 最高裁判所第二小法廷


   判示事項 負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与の受贈者が負担
        の全部又はこれに類する程度の履行をした場合と民法一〇二二条、一〇二
        三条の規定の準用の有無


   裁判要旨 負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与の受贈者が負担
        の全部又はこれに類する程度の履行をした場合には、右契約締結の動機、
        負担の価値と贈与財産の価値との相関関係、契約上の利害関係者間の身分
        関係その他の生活関係等に照らし右契約の全部又は一部を取り消すことが
        やむをえないと認められる特段の事情がない限り、民法一〇二二条、一〇
        二三条の各規定は準用されない。




   主    文

    原判決を破棄する。
    本件を名古屋高等裁判所金沢支部に差し戻す。

   理    由

    上告代理人増本一彦、同増本敏子の上告理由について
    負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与契約に基づいて受贈者が
   約旨に従い負担の全部又はそれに類する程度の履行をした場合においては、贈与者の
   最終意思を尊重するの余り受贈者の利益を犠牲にすることは相当でないから、右贈与
   契約締結の動機、負担の価値と贈与財産の価値との相関関係、右契約上の利害関係者
   間の身分関係その他の生活関係等に照らし右負担の履行状況にもかかわらず負担付死
   因贈与契約の全部又は一部の取消をすることがやむをえないと認められる特段の事情
   がない限り、遺言の取消に関する民法一〇二二条、一〇二三条の各規定を準用するの
   は相当でないと解すべきである。
    しかるに、上告人主張の負担である債務の履行の有無及び右のような特段の事情の
   存否について審理することなく、負担付死因贈与については遺贈の取消に関する民法
   一〇二二条(その方式に関する部分を除く。)、一〇二三条の各規定が準用されるも
   のと解すべきであるとして、本件負担付死因贈与契約はこれと抵触する本件遺言によ
   つて取り消されたことを理由に、本件遺言が右死因贈与契約の存在によつて無効とな
   る余地はないとした原判決は、法令の解釈適用を誤つた違法があり、右違法は判決に
   影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決は破棄を免れず、更に、審理を尽くさ
   せるため、本件を原審に差し戻すこととする。
    よつて、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。









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